インタビュー企画・シリーズ研究者にきけ! ――JAMSTEC 木元克典 博士



*本稿は取材先の認可を経て執筆、掲載しています。
JAMSTEC 木元 克典
仙台で行われた学会中、こころよくインタビューに応じてくださった木元先生(右)。
傍聴者は東北大学理学部のみなさん。つっこみ担当です。
ごあんない:

独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC ジャムステック)

弊社ホームページの目玉コンテンツ「動く化石図鑑」に
それはそれはたくさん収録されている、浮遊性有孔虫。
これっていったいなんなの、という問い合わせはいまのところとくにないけど、
このたび、独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)で浮遊性有孔虫の研究をしている木元 克典 博士に
有孔虫の魅力について語っていただく機会を得た。
以下、ご紹介。

「うまれは鹿児島なんです。
桜島がみえる環境、っていうのが大きかったのかな」

いまの研究分野をえらんだきっかけは、という問いに、木元先生はこう答えた。

「高校生のころ、NHKで放送していた『地球大紀行』をみて、地質学をめざそう、と思ったんです。
それと。『ニュートン』(ニュートンプレス)を、購読してましてね。
それで、平朝彦先生を知って。この先生のところで勉強しようと、高知大学に進学したんです。
でも、もういなかったの。
そのかわり、衝撃的な出会いをしました。大学に入ってはじめて、有孔虫を顕微鏡でみたんですよ」

――それからは有孔虫一色の人生、だったわけですね。

「そんなことないですよ。いろいろ、趣味はあります」

――たとえば?

「水棲動物の飼育です。
エビとか、熱帯魚とか、シーモンキーとか。
エビっておもしろいんです。ほら、脱皮するじゃないですか。運よく目撃できると、感動ですよ。
そうだ。どじょうも飼ってたんです。でも、調査船に乗るために十日ほど家を空けてたら、餓死しちゃって。
じょうぶな生きもののはずだったんですけどね」

――読書なんかは、しませんか?

「あんまり読まないほうなんです。
それこそ穴があくほど読んだのは、子供のころの『海底二万マイル』だけ。
でも、SFはすきですよ。アシモフとかクラークとか」

――そのふたりは、研究者に人気ですよね。

(ここからしばらく、傍聴者たちもまじえて『地球幼年期の終わり』談義がつづく)

――ご専門の分野で、一般向けに書かれたおすすめの本って、ありますか?

「それが、ないんですよねえ」

(「木元さんが、書いたらいいんじゃないですか」
模型もつけてさ。ディア○スティーニみたいに」
という声、傍聴者たちより)
JAMSTEC 木元 克典 有孔虫模型
CTスキャンデータからつくった有孔虫模型。
(協力:東北大学、JAMSTEC、株式会社DICO、丸紅情報システムズ株式会社)


「ものをつくるのは、だいすきなんです。
ぼくらが子供のころ、レスリング系人気漫画のキャラクタをかたどった消しゴムって、あったでしょ。
あれを有孔虫でやろう、って、いうアイデアを内輪で出したら
その場で却下でした。

有孔虫あみぐるみ、は、実際につくって提案してみたんですけど
なぜJAMSTECがそんなものをつくらねばならないかが、わからない
という理由で、これも却下されちゃいました」

(傍聴者たち「そりゃあそうだろう」と、つっこみ

「ぼくはものすごく自信があったのになあ。
どうして、このおもしろさをわかってもらえないんでしょう」
JAMSTEC 木元 克典 有孔虫あみぐるみ
左:有孔虫の電子顕微鏡写真。 右:有孔虫あみぐるみ。たしかに、すごくよくできてる。


――そのほかのご趣味は?

「基本的に自然好き、なんです。
だから、山に入って、よく沢を歩きます。
地質調査用のクリノメータとハンマーは、いまでも持ってます」

(このあと、調査用ヘルメットとハンマー装備で大学生協購買部にいって驚かれた話や、
手荷物中のハンマーについて成田空港で職務質問された話など
地質学者特有の失敗談が、傍聴者たちからえんえんと続く)

――さいきん興味をもたれていることは?

マイクロCT、ですかね。やっぱり、どうしても研究の延長になっちゃうなあ」

――これからやってみたいことは?

「有孔虫の殻をとかして、化学的に解析して環境を調べるのがぼくの仕事なんです。
今後は、CTをつかったかたちの解析と、それから遺伝子解析ですね、
このみっつを、三位一体、みたいにやれたらいいなと思っています。
それと、浮遊性有孔虫の完全飼育かな。
生活環が複雑なので、まだ成功した人はだれもいないんですよ。やりがいのある仕事です」

――最後に。インタビューを受けての感想は?

「おもしろかった。自分のこと話すの、けっこうきらいじゃないですから」

――こちらも、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。お忙しいところ、ありがとうございました。
(2011年3月5日 東北大学生協理薬店にて)
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2010/03/07 執筆

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