インタビュー企画・シリーズ研究者にきけ! ――東北大学塚本研究室 木村勇気 博士



*本稿は取材先の認可を経て執筆、掲載しています。
塚本研究室
木村プロジェクトの自作装置。なんでもDIY、は研究室のモットー。
ごあんない:

東北大学理学部地球科学系・理学研究科地学専攻 資源・環境地球化学グループ 塚本研究室 公式ホームページ

前々回、および前回のつづき。


つづいて、木村勇気 博士(理学) へのインタビューを。


ウチュウジンの研究をしています。NASAにもいきました」

……といっても、宇宙人ではない。ちり dust のほうの宇宙塵だ。
ナノメートル(=ミリメートルの100万分の1)の領域では、物質は通常われわれが知っているのとはかなりちがったふるまいをする。
宇宙に存在するナノサイズのちり=宇宙塵、が木村先生の研究対象。


――研究者になろうと思ったきっかけは?

とくにないですね。ある意味、ものごころついたときからなりたいと思っていましたから。
中学生くらいのときにはすでに、NASAに行こう、と考えていました。

――なるほど、夢はみごとに実現したわけですね。
それでは、いまの専門を選んだのはなぜ?

もともと興味があったんです。
あえていえば、いままで研究していたナノ粒子が、宇宙にもあるとわかったからかな。
それと、ほかにだれもやっているひとがいない分野だから。

――会心の一本、という論文をおしえてください。

いま書いているものです

――すばらしい、理想的なお答えですね。
次の質問を。研究生活の転機の事件、ってなんでしたか?
塚本研究室
やはり、NASAに行った二年間です。いろいろな意味で視野が広くなりました。

――ご専門の分野について一般向けに書かれた書籍で、これは、と思うものを一冊あげてください。

うーん、むずかしいなあ。外村彰さんの『電子線ホログラフィー ミクロの情報をつかむ新技術』(オーム社)かな。
タイトルは専門書っぽいけど、中身はとてもやさしく書かれています。

――研究者をやっていてよかったな、と思う瞬間はどんなときですか?

いつでもよかったと思っています

――これまた、すばらしい。理想的。

それと、自分の研究に共感してもらえたときかな。

――そろそろ、生活についての質問を。研究以外の趣味、特技は?

サッカーです。ここ(東北大)では、教員や大学院生でチームをつくってフットサルをしています。渡米時にはNASAのリーグに所属してました。それに、日本人フットサルチームにも。

――アメリカって、サッカー人口がすくないようなイメージがありましたけど。

移民が多い国なので、意外とさかんなんですよ。出身国別にチームがあったりして、もうプチワールドカップ状態

――何時に起きて何時に寝ますか?

6時半起床、12時半就寝。

――研究時間は一日のうち何時間くらい?

12時間か、それ以上。移動中なども研究について考えているので。

――いまだから話せる大失敗ってありますか?

あんまりないなあ。そうそう、海外に出張したとき、帰りの飛行機に間に合わなかったことがありました。つぎの便に乗れたからよかったけど、セキュリティチェックをぜんぶやり直したりしなくちゃならなくて、けっこうたいへんでした。

――逆に、思い出にのこるいい話は?

NASAでのボスにほめられたこと。しかも帰国してから。

――それは、ぜひほめておかなくちゃならない内容だったんでしょうね。
これから研究職をめざそうという若いひとに向けてなにかひとこと、お願いします。

好きこそものの上手なれ」。

――科学のいいところって、なんだと思いますか?

嘘をつかないところ

――あなたにとって科学とはなんですか?

ひとびとを魅了するもの。もちろん、自分もふくめて、ね。

――さて、地球科学研究者むけの質問です。
地球科学って、なんなんでしょう?

半分は趣味。のこりの半分はなにかしら役に立っている。資源探査、とか。

――地球科学をこれからもりあげていくためには、どうすればいいと思いますか?

ゆとりをもつことが大事。ああ、これは他分野も、か。
そう、スーパースター研究者をつくることですかね。あとは、大プロジェクトの成功。研究の世界だけでなく、マスコミとか周囲を巻きこんで。

――インタビューを受けての感想は、いかがですか?

むずかしいです。自分の思考を、他人にわかるよう説明しなければならないので。研究内容を説明するのとはまたちがいます。
(2010年9月17日 東北大学塚本研究室にて)


*本取材は、資源・環境地球化学グループ 塚本研究室 博士前期課程二年 野崎壮一郎さんのコーディネートによっています。
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