巨人がつくった石の階段は柱状節理――世界遺産Giant's Causeway(アイルランド)



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 アイルランド北部の海岸に分布する果てしない玄武岩の六角柱群。詩情ゆたかなケルト人の末裔であるアイリッシュたちは、これらを「伝説の巨人フィン・マックールがつくった、スコットランドへといたる階段」と考えた。なるほど、言い得て妙といったところか。
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 北アイルランドの首都ベルファストからレンタカーで数時間のところにあるGiant's Causewayは、世界遺産にも登録されている屈指の奇景だ。溶岩が急冷することで縦に亀裂が入って形成された無数の柱は、ひとつひとつが両足で立てるくらいの大きさがある。まさに階段みたいである。ただ、巨人が踏むにはちょっと小さすぎたかもしれない(スケールは執筆者=160cm)。

 風化し、水のたまった表面は滑りやすく、油断すると転倒して海に落ちかねないが、観光客用の手すりや綱などがまったくないところはいかにもアイルランドらしい。
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 接写するとこんな感じ。もちろん、きっちりとした六角形ばかりではない。

 九月にもかかわらずひどく冷たい小雨の降る日だった。丸山薫の詩にあるように、この国では本当にしばしば不意の 雨に見舞われるのだ。
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 ところかわって、こちらはアイルランド南部の港町コーク。首都ダブリンに次ぐ規模を誇るこの街にはUniversity College Cork (略称UCC)というけっこう大きな総合大学がある。ここのところ世界中でとみに元気がない地質学部も健在だ。もっとも、地理学部と併設、ではあるが。
 右の写真の案内プレートはゲール語と英語のふたつの言語で記されている。なにをかくそう、この国の公用語はゲール語なのだ。だから、英語よりもゲール語が上になっている。たとえ、読める人があんまりいないとわかっていても。
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 左の写真が建物内の廊下。いちばん奥の突き当たりに、Giant's Causewayの玄武岩六角柱が展示されていたので、近づいて撮影したのが右の写真だ。非常口を展示に利用しているわけなのだが、この扉、アイルランドの象徴色である緑に塗られている。とにかく、この国ではやたらになんでも緑色だ。
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 最後に、いかにもアイルランドっぽいデザインのマンホールの蓋の写真を。なにせ普通の路上なのでちょっと汚れているのが難だが、まさにケルトに特徴的な組紐紋様と連続動物模様だ。こちらもコーク市内で撮影した。スケールは執筆者の足=23cm。