架空論文:「血液型Oのヒトはより蚊に刺されやすい傾向がある」



Introduction


 人類はその出現以来、吸血生物とのあくなき戦いにさらされてきた(1-3)。特に蚊科 (Culicidae) はもっとも人目につき、種々の伝染病を媒介するにもかかわらず、容易に根絶できないことで有名である(4-8)。疫病の媒介もさることながら、吸血時に表皮内部に注入される唾液が人体にアレルギー反応を引き起こし、腫れをともなう激しいかゆみをもたらすことで一般によく知られている(9-12)。この反応を減らすため、アザチオプリン系免疫抑制剤の使用などさまざまな試みがなされてきたが、実用にまでこぎつけたものはいまだにない(13-18)。
 蚊は、人体から発せられる二酸化炭素と赤外線を感知するため、体温と基礎代謝が高い人ほど刺されやすい傾向にあることがわかっている(19,20)。だが、俗説では、ABO式血液型もおおいに関係があると言われる(21-34)。著者とその同僚たちも、特定の血液型に属する人間のほうが刺されやすい傾向にある、という経験をしている(Y. Mastuzakiらによる私信)。
 そこで、筆者らは、血液型による蚊の刺されやすさの違いが果たして本当に存在するのか、そしてどの血液型が刺されやすく、どの血液型が刺されにくいのかを実験により明らかにした。この結果は、今後蚊の唾液による被害を最小限に食い止めるための臨床研究に必ずや役に立つことだろう。人類が永遠に蚊の恐怖から逃れる日も近いのである。

Materials and Methods


 被験者として、本学生物学科二回生の健康な男子に希望者を募り、A, B, O, AB各血液型の25人ずつ、合計100人に協力してもらった。実験前に全員の基礎代謝量と体温を測定し、補正のために使用した。表1.はその数値一覧である。
 材料として、都市部で一般的にみられる種類であるアカイエカ Culex pipiens を本学応用昆虫学研究所の提供により使用した。
 試験室としては、本学体育館の窓と扉をすべて密閉して使用した。この空間に脱衣した被験者全員に入ってもらい、その後アカイエカ数万匹(概数)を放して一時間放置した。この間、蚊を叩くことは一切禁じた。その後、全ての被験者の刺し傷を目視で数えた。

Results


 各血液型の被験者における刺し傷数の平均は図1.の通りである。明らかに、O型が有意に刺し傷が多いことがわかる(p=0.049, student t-test, 片側検定)。A型とB型は同じくらい、AB型が一番低くO型の約半数という結果になった。

Discussion


 本論文は、血液型と蚊の嗜好性についての関係を証明した初の大規模な実験を報告するものである。結果、O型が有意に蚊に好まれていることがわかった。ここから、ヒトはどのように蚊が引き起こすアレルギー反応と戦えばよいかの指針を議論してみたい。
 O型は、A抗原とB抗原をともに持たないため、輸血の際にどの血液型のヒトにも提供できるという利点をもつ(35-38)。だが、医療技術の発達した現代においては、この利点の存在意義も薄れてきてしまっている。
 そこで、全てのヒトの遺伝子プールからO型の遺伝子を減らすことにより、蚊の攻撃を緩和する、という解決策をとってもなんら問題はない、と結論できるだろう。

 ちなみに、本論文の著者らはみなAB型である。

Acknowledgements


 本論文を執筆するにあたり、協力してくださった以下の人たちに感謝します。
 Y. Mastuzaki (生命科学研究所、O型)、J. Shinohara (応用昆虫学研究所、O型)。

References


1, B. Stoker (1897) Dracula. Archibald Constable and Company, UK
2, S. King (1975) Salems Lot. Doubleday, United States
3, E. Kostova (2005) The Historian. Little, Brown Book Group, UK

(以下は省略されました)
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